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第5回ご当地ゆるスポーツアワード受賞団体インタビュー

2026.04.14

ご当地ゆるスポーツアワード

ご当地の魅力をスポーツとして表現する「ご当地ゆるスポーツアワード」。今回は、第5回ご当地ゆるスポーツアワードグランプリ、準グランプリを受賞した団体にインタビューを実施いたしました。それぞれのスポーツがどのようなプロセスで生まれ、どのように形づくられていったのかを紹介します。来年度以降の応募を考えている方にとっても、制作のヒントとなる内容になっています。

グランプリ「ゴーイング米ウェイ」(キモチのデザイン)

新潟県の米文化をもとに、田植えの速さと正確さで競うリレー「ゴーイング米ウェイ」

学生の自由な発想から生まれた“田植えスポーツ”

「ゴーイング米ウェイ」は、大学1・2年生の学生を中心としたチームによって考案されました。徳久先生の呼びかけをきっかけに、普段から課外活動として企画制作を行っている約10名のメンバーが集まりました。

これまでオープンキャンパスの展示などを企画していたチームでしたが、本アワードの「地域性」と「スポーツ」を組み合わせる発想に魅力を感じたことが応募のきっかけでした。

アイデア出しでは新潟をテーマに検討を進める中、枝豆や花火、消雪パイプなど地域にちなんださまざまな案が挙げられました。その検討過程で、メンバーの一人が米農家出身だったことをきっかけに田植え案が浮上。地域らしさと競技化のしやすさを兼ね備えたモチーフとして採用されました。

試行錯誤が生んだシンプルで熱中できるルール

競技の核となる「植えていくレース形式」は早い段階で決定していましたが、そこから現在の形に至るまでには多くの調整が重ねられました。対戦形式や協力形式、正確性を重視する案などを比較検討しながら、テンポよく楽しめる構成へと整理されていきます。

企画面では、苗を模した用具づくりが大きな課題となりました。一本ずつ手作業で制作し、細かな改良を繰り返すことで競技として成立する精度を実現しました。

また動画制作も学生自身が担当し、ナレーションや音声演出を工夫。CMのような短くキャッチーな構成も相まって、一次審査の段階から高い評価を得ていた作品となりました。

準グランプリ「招福!猫返し」(8Dこども教室)

東京都世田谷区・豪徳寺の招き猫を落とさず小判に返して福を競う「招福!猫返し」

子どもたちとの対話から生まれたアイデア

約10年にわたり「表現を楽しむこと」を軸に活動してきた8Dこども教室。身体活動や創作遊びを通して自己表現を育む場として運営されています。

本作品は、教室に通う子どもから「毎月コンテストに挑戦してみたい」という提案があったことをきっかけに企画が始まりました。テーマを探す中でゆるスポーツと出会い、以前から興味を持っていたこともあり応募を決定しました。

発想の出発点となったのは世田谷の招き猫。当初はパラスポーツ・ボッチャとの組み合わせも検討されましたが、「招き猫を的にするのは罰当たりなのではないか」という声が上がり方向転換。「猫に小判」という連想をきっかけに、上下運動を楽しめるパラバルーンとの組み合わせが生まれました。

言葉づかいまで含めてつくられた“ゆるスポーツらしさ”

制作では、ルールそのものだけでなく言葉選びにもこだわりがありました。他のゆるスポーツのルール名を参考に、「お盆休み」「一服」などさまざまな案が出し合われたそうです。その中から、最終的に競技内のルール名として「ばちあたり」という遊び心のある名前が選ばれました。

ルール設計では、面白さを保ちながら説明を簡潔にすることに苦労したといいます。要素を削ぎ落としながら調整を重ね、子どもから高齢者まで楽しめるシンプルな構造へと完成しました。教室内での実施に加え、今後は地域イベントでの展開も検討されています。

準グランプリ「サギッポ」(三田国際科学学園中学校)

東京都世田谷区の鷺草伝説を題材にした、鬼ごっことしっぽ取りを組み合わせた競技「サギッポ」

地域文化から発想されたスポーツづくり

三田国際科学学園の授業内プロジェクトとして、中学1年生のクラスそれぞれがオリジナルスポーツを考案。動画やルールブックを制作したうえで投票を行い、得票結果と教員推薦を踏まえて代表作品が選出されました。そのうちのひとつが「サギッポ」です。

アイデアの出発点となったのは、世田谷区の文化や伝統を調べる学習活動でした。地域について調査する中で、生徒たちは区の花である鷺草と白鷺伝説に注目します。他地域ではあまり知られていない物語をテーマにすることで、自分たちの地域文化を外へ伝えられるのではないかと考え、競技のモチーフとして採用しました。

当初は白鷺チームと側室チームによるリレー形式なども検討されていましたが、スポーツとしての分かりやすさや成立性を考え、鬼ごっこ形式へと変更。ストーリー性と遊びやすさを両立させる形を模索しながら、現在の競技へと発展していきました。

試行錯誤を重ねて生まれた参加しやすいルール設計

考案過程では、誰でも楽しめる競技にすることが大きなテーマとなりました。鬼ごっこは走るのが得意な人が有利になりやすいため、運動能力や障害の有無に関わらず参加できる仕組みを目指し、ルールの調整を重ねました。最終的には、エリアによって移動方法を変えるルールを導入し、多様な参加者が楽しめる設計へとつながりました。

制作は主に保健体育の授業で進められ、動画制作は情報の授業で実施。応募が決まった後は休み時間や放課後にも作業を重ね、生徒主体で完成度を高めていきました。インタビューでは、「意見をまとめる難しさがあったが楽しかった」「放課後にみんなで作業した経験が印象に残っている」といった声が聞かれ、制作そのものが学びの機会となった様子がうかがえます。伝説の構造と競技ルールが結びついており、「別の題材では成立しない必然性」がある点も高く評価されました。現在は世田谷区スポーツ振興財団との連携も検討されており、地域イベントや子ども向け活動への展開も期待されています。

今回インタビューを行った3つの受賞団体は、それぞれ活動地域も背景も異なり、競技の内容もまったく違うものでした。しかし話を聞く中で、いくつかの共通点が見えてきました。

まず印象的だったのは、「競技を作ること」そのものよりも、「人が集まるきっかけを生み出したい」という思いが出発点になっている点です。地域を盛り上げたい、誰でも参加できる場をつくりたい、既存のスポーツでは届かなかった人にも楽しんでほしい。そうした願いが、それぞれ独自のゆるスポーツを形づくっていました。

また3団体とも、最初から完成された競技を目指していたわけではなく、実際に遊びながら改良を重ねてきたプロセスが共通していました。参加者の反応を見てルールを変える、地域性を取り入れる、運営方法を試行錯誤するなど、「やってみること」自体が活動を前進させる原動力になっていたことが印象的です。ゆるスポーツは完成品ではなく、関わる人とともに育っていくものだと感じさせられました。

身近な課題や「こんな場があったらいいな」という想いから始まった取り組みが、多くの人を巻き込み、新しいスポーツとして広がっていく可能性があります。今回の受賞団体の事例が、次に挑戦する誰かのヒントとなり、新たなゆるスポーツが生まれるきっかけになれば幸いです。

第5回ご当地ゆるスポーツアワード受賞団体インタビュー | 世界ゆるスポーツ協会