テクノロジーの力を活用し、多様な人々が気軽に楽しめるスポーツ体験を提供することを目指す Google の Project Guideline 。このプロジェクトを中心に、視覚障害のある子どもたちやそのご家族が身体を動かす楽しさに触れ、誰もが気軽に参加できるスポーツイベントが世界ゆるスポーツ協会と共同開催されました。今回はGoogleの鈴木様に、ゆるスポーツとの出会いや共同開催したイベント「ノールック運動会」について、また今後の展望についてお話を伺いました。
ー Googleがゆるスポーツ協会と連携することになったきっかけを教えてください。
(鈴木さん)Googleでは視覚障害のある方がAIの力を借りて自由に走ることを可能にする Project Guideline という研究開発プロジェクトを進めています。その活動の中で、視覚障害のある子どもたちにもっとスポーツを楽しむ機会を提供したいと考えました。ただスポーツをするだけではなく、ご家族や周囲の方と共に気軽に楽しめる環境を作りたいと思っていました。そこで誰もが楽しめるユニークでインクルーシブなスポーツを専門的に開発している世界ゆるスポーツ協会代表理事の澤田さんにご相談したことが連携の始まりです。
テクノロジーとアイデアの融合で、究極のインクルーシブスポーツが誕生
ー 「ノールック運動会」はどのようなイベントで、なぜ開催されたのですか?
(鈴木さん)「ノールック運動会」は、 Google と世界ゆるスポーツ協会が協力して開催したイベントです。 Google が開発したテクノロジーやアクセシビリティ機能を活用し、視覚障害のある方だけでなく、見える人、見えにくい人、運動が得意な人、運動が苦手な人まで、あらゆる人が平等に楽しめるスポーツを企画しました。視覚の有無や運動能力に関係なく、参加者が全員対等に楽しめるように、晴眼者の方にも目隠しをして参加してもらうなど、工夫を凝らしました。

当日の様子はとても賑やかで、一日を通じて参加者の皆さんの笑い声が絶えないイベントとなりました。特に印象的だったのは視覚障害のあるお子さんとその親御さんによる Project Guideline 親子対決で、お子さんが親御さんに勝利した際に、親御さんが本気で悔しがりつつも嬉しそうな表情を見せていたことです。また、 Lookout という Google が開発したアプリを活用した「ボール多すぎボウリング」「サングラス鬼」など、ユニークで新しいスポーツにも皆さんが積極的に取り組み、子どもから大人まで全員が楽しそうに体を動かしている姿がとても心に残っています。
「ゆるい」という概念が世界を広げる
ー 今回世界ゆるスポーツ協会とタッグを組む中で印象的だったことはありますか?
(鈴木さん)スポーツってどうしてもルールをかっちり決めて、厳格に順位を決めて競うイメージに囚われがちですけど、その世界に「ゆるさ」という概念を持ち込んだのが、本当に唯一無二のブレイクスルーだと思います。ゆるさの追求によって、身体能力や障害のあるなしを超えて、だれもが一緒に楽しめるスポーツが生まれるのは、世界ゆるスポーツ協会さんにしか出せない強みですよね。
また、Project Guideline の技術を使って今回生まれた「チャンバラちゃん」のように、我々では全く思いもつかなかったような技術の使い方が、「ゆるさ」を手がかりにすることによって生まれて、しかも実際やってみると本当に面白くて、さすがだなと思いました。
さらに、イベントの企画や運営の面でも、参加者全員がポジティブな体験を得られるように、「ゆる」といいつつもすごく細やかな配慮をされているのも印象的でした。それを可能にしているのは経験に裏づけされた実践的なノウハウや、みなさんの温かいホスピタリティ、もしくはこれは違ったら怒られちゃうかもしれませんが「自分たちも楽しんでしまおう」みたいなマインドもあるのではと感じました。
実はゆるくない世界ゆるスポーツ協会
ー 世界ゆるスポーツ協会との今後の展望や取り組みに期待することはありますか?
(鈴木さん)「ノールック運動会」での協力を通じて、Googleと世界ゆるスポーツ協会の間に予想を超える素晴らしいケミストリーが生まれました。ゆるスポーツさんは、実は全然ゆるくなくて(笑)、どうやったら私たちが持つテクノロジーの新しい使い方を発見できるか、それを新しいスポーツの誕生につなげるか、ということを全力で考えていただきました。このようなテクノロジーとスポーツの融合を今後さらに発展させていきたいと考えています。

実際にイベントに参加した子どもたちの中には、テクノロジーに興味を持ち、将来エンジニアを目指したいと話している子もいました。このようにスポーツをきっかけとして、子どもたちの将来の夢や可能性を広げる機会をさらに提供していきたいと思います。また、スポーツだけでなく、様々な分野でテクノロジーが社会課題を解決する力になれるよう取り組みを広げていきたいです。
世界ゆるスポーツ協会とは今後も継続して連携し、誰もが身体を動かす喜びを体験でき、さらには新しい技術や考え方に触れる機会を提供していきたいと思っています。その結果、多くの人が世界が広がる喜びを感じられるようになれば、これほど嬉しいことはありません。